使用済み自動車のリサイクルコストモデル

指導教官 足立芳寛教授 梶川義明助教授 96637 山本和幸

【緒言】

日本の伝統的な自動車リサイクルシステムが破綻しようとしている。鉄スクラップ価格の低迷、シュレッダーダストの埋立処分費用の高騰などが原因である。しかしながら、社会的にはより一層の環境的配慮が求められ、リサイクル・イニシアティブでは現在75%と言われている使用済み自動車のリサイクル率を2015年までに95%に向上させるとしている。そこで、本研究では自動車リサイクルシステムモデルを構築し、システム全体の経済的な健全性を保ちつつ、もっとも効率的に高リサイクル率を達成するような最適解を提案することを目的とする。

【計算方法】

物量と経済の流れを考え、解体業者およびシュレッダー業者の収支を基準として、現状の自動車リサイクルシステムをモデル化した。次に、各業界による投資がリサイクル率に及ぼす効果を検討した。例えば、メーカーによる解体しやすいクルマ作り・リサイクルしやすい素材の使用・素材の統一、あるいは解体業者による徹底的な部品リユース、シュレッダー業者によるダスト利用技術の推進などの各業界による投資が、リサイクル率向上に寄与すると考えられるため、この投資額とリサイクル率の間に費用対効果関数が存在するとした。この関数形として、本研究ではWeber-Fechnerの法則を適用することにした。すなわち、

である。これは対数関数であり、図1に示すように、投資が小さいうちはリサイクル率への効果が大きく、投資が大きくなるにつれ効果が小さくなるという一般的傾向をうまく表している。メーカー投資、解体投資、シュレッダー投資のそれぞれに現状に即した投資閾値S0と係数Kを設定し、投資額とリサイクル率の関係を求めた。

【結果と今後の課題】

簡単のために、各業界による投資額を均等に配分した[均等]型。解体業者とシュレッダー業者に半分づつ投資しメーカーには投資しない[メーカーなし]型。同様の[解体なし]型、[シュレッダーなし]型を比べた場合、図2に示すように[均等]型がもっともリサイクル率が高くなった。また、[解体なし] 型では、リサイクル率が他に比べて低くなっており、これは解体業者に投資しないことの不利益を示している。今後の課題としては、精緻なデータに基づいた費用対効果関数の追求と、投資がリサイクル率に反映するまでのタイムラグなどをどうモデルに組み込むかなどである。




元へ戻る




SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送